ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
モンブラン 2007年作家モデル

モンブラン 2007年作家モデル

モンブランの作家シリーズ、2007年はフォークナーじゃないですか……!
そろそろ来いとは思っていたが、本当に来てしまった。「出たら買うよー」なんて冗談で言ってたのに。
そもそも私はフォークナー先生のお写真(アンリ・カルティエ=ブレッソンが撮影した奴)を写真立てに入れて朝夕眺めてるくらい崇め奉ってるのに……これは買いなのだろうか。9月20日発売。ネットでモンブランは一応買えないことになってるから、お店に参ずるしかありません。
しかし13まんえんかあ! 色々込みで14万円。3本セットとかは眼中にないですよ。貧乏人ですから。13万……。
ペン先には複葉機。ボディは黒とシルバー。色合いは私好みなんだけどな。渋い感じで。しかし実物を見るまでは何とも……いまいち「これだー!!!!!!1」と飛びつく決定打がないんだよな……まあコレクションするためのものだろうから、あんまり必要ないのかも知らんが。
モンブランはマイスターシュテック149使ってるけど、確かに気持ちいいんだよな。お値段の違いは書き味にどれくらい影響するものなのかね。コレクションに書き味はそもそも求めないでおくべきなのか。
ちなみにドストエフスキー先生も大好きだけど、丸善でドスト先生も出る見たことあるけど、買わなかったよ! 物欲に耐えてよく頑張った。感動した。
しかし、ウイリアム・フォークナー。今「野生の棕櫚」を読んでます。古本で買ったけど、神保町で全集探した方が安く済んだかも知れん。しかし私は数年前、本と音楽と映画には金を惜しまないことを誓ってしまったのだった。でも万年筆には惜しむよ。上を見たらキリがないから。
ううむ、悩む。13万円のお買い物となると、何か自分を納得させる理由がなくてはいけません。でも限定だからうかうかしてると手に入らなくなってしまうのだよね(これがトラップだって知ってるけど踊らされちゃうんだよ)来年1月の誕生日にはペリカンのスーベレーンM800ってところで話がまとまってるし。
しかし、日本人作家で出るとしたらやっぱり大江健三郎とかなんだろうか。中上健次だったらものすごくエロいフォルムになりそうだけど。黒だけどワンポイントで赤とか。ペン先は何だ、金色の小鳥か? だったら買うかも。村上龍とかだったら失望するなあ。
夏目漱石だったらペン先は猫。それだけはガチ。そして多分その猫は、かわいくない。
ちなみに現在までの作家モデルで一番好きなのは、デザインだけで言えばマルセル・プルースト。スターリングシルバーのボディにペン先には砂時計。欲しいけど、手に入らないのだよねー。物欲には限りがないけど、お財布の中身は有限だから。あと銀行の残高も。数字ってシビアだよね。かといってその為に馬車馬のように働こうとも思わないのだ。
作家モデルシリーズは、それ以外なんとなく物欲がそそられない。フォークナー先生モデルも、写真で見ただけでは前述の通りいまいち決定打に欠ける。なんかお父さんが持ってそう。うちの父さん万年筆趣味なんかないけど、昔一度だけ使ってるの見たことがある。銀色のボディの、割と細い奴。メーカーとかは一切不明。目撃したのは多分小学生くらいの頃だったから。シルバーに、小さい格子模様が掘り込んであったと思う。何でこんなに覚えてるのかも不明。
しかしその所為で、シルバーボディ≒お父さん、ってイメージがあるのかな。
初めて万年筆と言うものを持ったのは、姉のおかげ。500円くらいの廉価万年筆を貰った。緑のインクを入れて日記を書くのに使ってた中学生の頃。それから誕生日に買ってもらったプラスチックのパーソンズの万年筆。クリップのところに小さい硬貨みたいなアクセサリーがついてて、使ってるとカシャカシャ鳴るのが面白かった。
それから年月は流れ、旦那(当時は相方)が言った。「誕生日、万年筆にしようと思うんだけど」
その瞬間、修羅の道に足を踏み入れてしまったわけですな! 万年道は修羅の道……この森は深いぞ! 気をつけろ! そこは支流だ! インクの河は深く、そしてアマゾンのように入り組んでいる……!
なんか、買わない理由を必死に言い訳してる気がするorz
まあ理由はほとんど9割9部9厘金銭なんですけど。そりゃあ宝くじ当たったら買うわ。この逡巡も楽しいけども、縁があったらいずれ手に入るでしょう。なんていいながらこれからしばらくぐだぐだ悩みそう。この微妙に手の届きそうな値段設定……くそう、モンブランめ、策士だな……!

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