ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
大橋堂万年筆(極細)

大橋堂万年筆(極細)

三越の万年筆祭りで購入した大橋堂の津軽一号、使い込んで大分こなれてきたので写真に撮ってみた。
OHASIDO fountain pen
相変わらず、持ってると呪い成分が接触感染しそうな禍々しい模様。だがそれがいい。写真では分からないかもしれないが、赤い部分の縁が微妙に透明感を持っていて、眺めていて飽きない。グラデーションと言うよりも、透明水彩絵具を塗り重ねた感じ。
紙はニーモシネ。5mm方眼の中に頑張ればひらがな5文字行ける。
OHASIDO fountain pen
インクはビスコンティのブルーにした。試し書きの時に出てきたのがシェーファーのブルーで、これが煮詰まって濃くなって大変美しかったので、ついうっかり買っちゃったんだけど、新品を開けてみたら意外と赤味が強かったので急遽おうちで眠っていたビスコンティさんにご登場願った。
大橋堂さん曰く、文字を書くときにペン先が滑ってしまっては細部まで制御が効かず、細かい文字は書きにくいので最初からある程度引っかかりがあるように調整している、とのことだった(もちろん希望があれば滑らかにしますけどね、とも仰っていた)
なるほど、中字のペンとは明らかに違う抵抗感があるが、それは引っかかりと言うよりも摩擦? に近い気がする。不愉快ではない抵抗感というか……かりかりする感じが、書いてて楽しい。初めて買った万年筆が舶来中字で、それ以降地味に中字ばかりを選んできた私にしてみれば、これは初めての体験だった。
最近は太めの線で大きめの文字を書いていたが、元々私は細かい文字でびっしりノートを覆い尽くす方だった(後で見返して神経症っぽくて直そうと思った)(映画『セブン』の犯人の日記みたいだった)
なんかそんなことを思い出して楽しくなってしまった。今は無地ノートにちまちま文字を書き連ねて楽しんでいる。
今回のことで細字を大分見直したというか、万年筆=太字の方がにゅるにゅるしてて書き心地がいい、と言う概念を覆す感覚だった。やっぱり買ってよかった。

5 Comments

  1. ardbeg32

    僅かに引っかかりが出るように、それよく解ります。
    というかウチのプラチナミッドナイトブルー細がまさにそんな感じに仕上げてあります。
    でもそこでインクの出る量に悩むんですよね。
    どくどく出ると速記には向くけどじっくり書けないし、絞るとじっくり書けるが摩擦感が気になったり。
    シェーファーの煮詰まったのでしたらヌルヌル感もあって気持ちよかったのでは?

  2. ひろあき

    はじめてコメントさせていただきます。
    万年筆を使い始めたころ(ペリカーノ)、インクのことを調べていて貴サイトにたどり着きました。
    読み始めたときは「ローラー&クライナー? うーん、マニアックな……」という感じでしたが、今はサリックスやスカビオサを愛用しています。
    しばらくたってペリカンのペリカーノからM400などに進んだころ、モンブランを愛用している方々には何となく距離を感じていたのですが、今は146(’80)や74に惚れ込んでいます(ともにペンクラスターさんからお迎えしました)。
    大橋堂万年筆も、今は「し、渋いっ」という感じですが、そのうち手元にあったりするのでしょうか……。モンブラン146の購入を決めたときも、こちらの記事を読んだ記憶が少なからず影響していた気がするのです。
    以上、とりとめのない感想ですみません。『春の雪』の文章にも刺激を受け、書き込んでしまいました。

  3. 深崎

    >ardbeg32さん
    インクの流量と言えば、大橋堂対面調整万歳ってとこですねー……細字の方は一度多めにして貰ったんですが、「これだと細字が楽しめないでしょ」みたいな感じでやっぱり元に戻してもらったり。つくだく好みでしたが、最近はこういうのもいいかなと……
    シェーファーはかなり煮詰まってたようでした。新品と全然色が違った。今はビスコンティで快調ですw
    >ひろあきさん
    初めまして、コメントありがとうございます。
    R&Kいいですよねーペンクラスターで一目惚れでした。スカビオザにも興味津々なんですが、エボ芯の万年筆にサリックスを入れたらものすごく滓が出たことがあって二の足を踏んでいます。でも使いたいのに……
    私も最初モンブラン苦手でした。「親父くさっ」と思ってたんですが、使ってみたらさすがにロングセラーだけあってすごい安定感……好みは変わるものです。だからきっと、いずれひろあきさんの手にも大橋堂の万年筆が握られているはずです。早いか遅いかの違いですよ。偉い人にはそれがわからんのです。
    50年代の149がどうしても欲しいのは、三島由紀夫が大好きだからです!(あと149が好きだからです)

  4. ウサっ子三昧

    細字の良さ、私もセーラーの14金を川口さんに調整していただいてから、出番が少ないくせに手放せずにいます。
    書きだすと止まらないというか何というか…去年資格勉強してたときに、気が付いたらB5ノート2ページをぎっしり書きこんで、インク切れたりとかしてました。
    大橋堂さんのペン、いいなぁ。
    手持ちのペンケースが満員御礼になってから、万年筆購入欲が減退してたけど、なんか欲しくなった…。
    大阪でフェアやってくれないかなー。

  5. 深崎

    >ウサっ子三昧さん
    細字、いいですね……本当に見直しました。ハイテックCを使い切ることに情熱を傾けていた10代の頃を思い出しましたw
    大橋堂さんも被災されて大変なようですが、早くフェアやってくれるといいですね。今度東京に来てくれたときには顔を出すつもりです。
    あ、ペンケースって増えるんですよ知ってました? 気が付くと増殖するんですよ。だから大丈夫ですよ、万年筆買っても……

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