どんっ!!! ……みたいなね。
事の起こりは、私が昨日買った梨地(大橋堂一号)に何のインクを入れようかとぼんやり考えていた日曜日の朝。旦那が「本買いに行きたいな」と呟いた。私はそれを聞き逃さなかった。
すかさず、「丸善の商品券持ってるよ、五千円分」と囁く私。「使っていいの?」と無邪気に喜ぶ旦那。計画通り……とほくそ笑む私。別に丸善の券だから、日本橋丸善じゃなくてもオアゾでもどこでも使えるんだけどそれは家を出るまで黙っていた。
その時の私の心理は、前の日、梨子地塗と最後まで迷った津軽塗が売れてればいいなと思うのが6割、残ってたらいいなと思うのが4割くらいだった。でも今思うと自分に嘘をついていたと思う。残ってたらいいな、が9割だった(結果的に)
そもそも、大橋堂主人が「この津軽塗は実験的にちょっと作ってみただけだから、値段も安め」(意訳)みたいなことを言ったのが悪い。1本しかない、しかも梨地よりはお値段が優しい……なんかこう、色々くすぐられるし、何より極細ニブが着いたこのペンを、私は梨地を調整して貰っている間ずっと試し書きしていて、なんかもう自分の物になったような気すらしていたのだった。いや、錯覚だけど。
実際、塗りとペン先が違うだけの万年筆を何本も買ってどうすんだよ、安いペンでもあるまいに……と思っては見たものの、考えてみたら149も146も2本ずつ持ってた。ソワレとドルチェビータのミディアムも形は一緒……
そんなことを興奮気味に旦那に喋りまくりつつ丸善に辿り着くと、果して、昼間に出掛けた大橋堂のブースには、あの津軽塗が鎮座していたのであった。
お互い、半笑いで試し書き。呆れられているのがひしひしと伝わってくるが、さすがにもう気にしない。アホらしいことしてるのは自覚してたからな。
「じゃあ、お願いします」と言ってしまった自分に反省はしているが、後悔はしていない。
大橋堂主人が言った「まあ、ペンの方が待ってたんだろうね」という言葉は私の罪悪感を綺麗さっぱり拭い去ってくれた。
この禍々しい模様がたまらない……ずっと見てると呪いが感染しそう。でもかわいい。
ペン先も梨地と同じ14金。ただし、こちらは極細。
どうせならイリジウムにピントを合わせれば良かったと思うが、さすがに極細となると、大橋堂名物の玉のようなイリジウムはついていない。細かい字を書くには、あまりペン先が滑りすぎてもいけないというので、あえて少し抵抗感を残すような調整をしているとのことだった。確かに、引っかかるというか、滑らない感じがある。その抵抗感がなんだか快感なのである。ペンに振り回されない感じ。
梨子地塗と。ほんとに全く同じ形なんだな……でも、塗りが違う分、持ったときの感覚は結構違う。ぬるりと手に吸い付いてくるような滑らかな梨子地塗と、微妙な凹凸がへんに肌に馴染む津軽塗。
結局、どちらを先に買っても、翌日もう一本を買ってしまったような気がする。まあ滅多に買える物でもなし、そもそも梨地を持って帰宅した時点で「大橋堂一号」なんて名前を付けたこと自体が確信犯的な行動だったと今は思う。
はじめまして、いつも楽しく読ませていただいております。
3/4の記事を読んでて、二本目来る!!に2万ペリカぐらい賭けてました。
それにしてもほんと禍々しい模様ですね、わたしは恐れ多くて持つことすら多分出来ません。
それにしてもどういう場面で使うことになるんでしょうか(´・ω・`)
物欲を正当化するフレーズの数々に感動したッ!
オレも10日のJCBの引落しにドキドキしてる場合じゃないぜ
(買わないけど)
>「まあ、ペンの方が待ってたんだろうね」
『いい日旅立ち』ですね?
はじめまして。いつも読ませていただいていますが万年筆の記事ではじめて話に参加できる一品がでてきたので記念に書きます。
大橋堂の細字のペン先いいですよね。次に万年筆を買うなら太字にするんだと思っていたのに、ついうっかり試し書きで最初に試した細字の書き味がよくてそのまま買ってしまいました。
セーラー製のコンバーターの容量の少なさにだけは不満がありますが気にいってます。
最新の趣味の文具箱で大橋堂さんが特集されていましたが読まれましたか?
催事のスケジュールも載っていたのでこの時には良いお知らせが聞けるといいですね。
>hitahitaさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
あの記事を書いた時点では全くそんなつもりはなかったんですが……やはり行間に潜む欲望を看破されてしまいましたか……
ちなみに会社で普通に使っています。周囲は特に誰も興味を示してはいないようですw
>ギャラードさん
そうかもしれません、でも後悔はしていない。いい日に旅立つ予定もありませんwww
万年筆を愛でるようになって、自分への言い訳がずいぶん上達した気がします……
>まんじゅうさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
趣味文も読みました。「おお、うちの子が載ってるw」とかにやにやしながら。
とにかく今は大橋堂さんの無事を祈るばかりです。案内ハガキ来るといいな。