不具合発生のため、先日から入院していたスプレマが本日ようやく退院してきた。なんか、軽い気持ちで手を出した古物取引……まさかこんな事になるなんて思いもしなかった。私が甘かった。
まず、万年筆修理のプロが言った一言。
「今まで持ち込まれた中で一番難しいかも……」
それが<私が今まで持ち込んだ万年筆>なのか<すべてひっくるめて>なのかは怖くて聞けなかった。この辺りから風向きが怪しくなってくる。私は軽くペン先を調整してもらうつもりだったのだが、結果的には入院・修理になってしまった。
対策は色々考えてくれてとても頼もしかったのだけど、色々スプレマについて言われたことを全部ここに書くと、それはもうもの凄いネガティブキャンペーンを実施してしまうことになるので多くは語るまい。ただ、ペン先ユニットのネジが緩くて止らないし、インク窓の透明部分とボディのセルロイド部分を繋ぐところのネジは2巻き分くらいしかなくてすぐ外れそうで危なくて持ち歩きには適さないとか、ペン先とペン芯の位置がシビアすぎて位置調整もできないとか、そもそもインクが出てこないとか、数え上げればきりがない……これはまだ氷山の一角に過ぎない……
と言うわけで入院と相成ったのだが、どうやら大手術だったらしい。話を聞いていて気が遠くなるほどの。世界限定193本? これって他のは大丈夫なのかね? なんて雑談しつつ、目の前で最後の仕上げをして下さった。おかげさまで、上記写真のような美しい筆跡になりましたよ。字の上手下手はこの際無視していただくとして。
ペン先はボディに対して大きく、紙に当たった時の感触はかなり柔らかい。ヴィンテージとは違うが、どちらかと言えばペリカンのM1000に近い金属自体のしなり。購入当初はペン芯がかなり後退してセットアップされていてしなりも大きかったが、今回の修理で少し前に出て、インクフローが増えていい感じの書き味にあった。
首軸がペン先に向かって一気に細くなっているので、ドルチェビータの太い首軸に慣れている自分にはちょっと違和感があるが、このカーブが美しいからなんでもいい。キャップをつけないと私の手には少し短いが、つけたらつけたでリアヘビーな感じ。首軸が細い分、後ろに僅かに引っ張られる感触。
字幅は、舶来Mにしてはかなり細めだと思う。ドルチェビータのFくらいの太さと思って間違いない。インクフローは調整済みでかなりつゆだくなので、これはペンポイントの大きさに依存していると思われる。
書き味は見違えるほど良好になったが、退院したとはいえ、まだ問題は残っている。まずキャップだが、完全に空気が漏れている……セルロイドだからか? 穴は空いていないはずなのに、息を吹き込むとてっぺんのあたりから「スーッ」って恐ろしい音がする……ペン先はかなり乾きやすいと言われた。古典インクを入れるのは危険かもしれない。
あと、入院時にはローラー&クライナーのパーマネントブルーを入れていたのだが、フローの悪化はインクの所為もあるんじゃないかと言うことだった。パーマネントブルーはどちらかと言えば表面張力の強いインクらしく、ペン芯に降りてくるのに僅かなタイムラグがあると。あとは乾いてダマになりやすい、とも。確かに帰宅してインクを洗浄していたら、カスがふわふわと浮いてきたけれども。
しかしLAMYのサファリにも同じインクを入れてこちらは問題なく使えているので、相性の問題だろう。というか、<万年筆とインクの相性>って結構シビアな問題だったんだなあ、と再確認した。気をつけよう。
ドクター・ヤンセンのナポレオンを入れてみたら快適だった(写真参照)今はにやにやしている。
しかし、この問題山積の万年筆が、ただ単に外れを引いただけなのか、それともこの限定万年筆を買った世界中の193人の人々が同じ思いを抱えているのか(そしてだからこそ委託販売されていて私の手に入ったのか)、考えるとちょっと面白い。どちらにしろ、もう半ば解決した問題でもあるし。
いろいろあったが、眺めているとにやにやしてしまうフォルムの美しさは、積み上がった問題を帳消しにしてくれるくらいには幸福だ。イタリア万年筆大好き。でも次はDELTAにするわ。マリーナ・グランテにするわ。
えーえらいことになってたましたようで(合掌)
いわれて自分のヴェドも眺めてみたんですが、確かに透明部と軸との接続部はそんなに深く結合して無さそうで焦ってます。
あと確かにキャップに息を吹き込むとクリップの付け根当たりからしゅーって息が漏れますねぇorz
スティピュラってみんなこんなのなんですかねぇ?まぁ私はパイロット青入れているのでペン先トラブルは今の所皆無ですが。
で、深崎様の記事の呪いのせいか、現在オクで出品されているスプレマの値段の伸びが異常に悪いのですがw
前回の出品まではうなぎ登りで2万近くいってたものが今は締め切り一日前で5000円とはw
怖いもの見たさに私も買ってみますかね?(オクのは鉄ニブですが新品です)
>ardbeg32さん
買っちゃえばいいじゃん! ボディの色とか凄く美しいですよ? もう書き味云々と言うよりも観賞用でいけるくらいに。デザインはほんと、細かいところまで作りこんであって美しいんです。そういう万年筆だからいいんだと思う……
キャップの機密性という意味で、月夜を入れたらいい感じに濃縮するんじゃないかと思いました。でも月夜はプラチナのコンバータを青く染めた猛者なので怖いですが。
まあ同じような胴軸スケルトンを何本も買うのもあれだし、スティピュラの鉄ニブの良さはヴェドで堪能できていますので、鉄ニブスプレマにはイマイチオークション魂が萌えませぬ。といいますか、次の記事でも深崎様が仰っていることに関係するのですが、別オクでパーカー45買っちゃって、さらに1930年代のシェーファーの繰り出しペンシルかったらなにかすとんと物欲が落ちちゃいまして、現在オクも様子見状態です。アンティークが特効薬になったかもしれません。
深崎様も、1940年代のConway StewartとかONOTO 6233プランジャー1948年製とか如何ですか?消耗品は新品交換済みみたいですし、オノトなんてめちゃくちゃ美しいですよ。
私が入手したシェーファーペンシルなんか1日みて眺めてさすっていても飽きない状態です。糞高い1.18mmペン芯(12本1600円)も注文したところです。どうでしょうか?
>ardbeg32さん
その落ちた物欲の復活は早いと見た。
コンウェイのモザイク模様は何となく食指が動かないですね。オノトは3本持ってるのでもういいです。宝くじでも当たったらマグナ欲しいけど。モンブランのクリスティとか限定品で欲しいのはあるけど。
まあ誘惑に弱いので、これからどうなるか分かりませんけどね!(万年筆のカタログを海外から取り寄せてしまいました)
だんなだんな、ええ情報があるやけどね(といきなり怪しい関西人風に)
http://www.rakuten.ne.jp/gold/hougado/aside/marlen/013.htm
報画堂はんのサイト眺めてたらこんなん見つけてもたんやけど、どないでっしゃろ?
わて?わては物欲が落ちましたさかい(嘘)
いやいや、深崎様の仰るとおり、パーカー45はさわり倒しているとチープやなぁとつくづく思いだしてきまして、金ニブがユニットで売ってるという情報から、あれ?物欲は?どうしたの?
とりあえずこのシルバー週間はルーペ使ってペン先調整で物欲を紛らわしています。
>ardbeg32さん
マーレンは、正直、ないです。寝た子を起こすな!
ただでさえ自然の美観シリーズでインディアンサマーが……いやいや、買いませんって。物欲克服したばっかりじゃん。シルバーと言えばヤードのビクトリアンの方が欲しいですよ?