ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
Montblanc No.142

Montblanc No.142

Montblanc No.142
銀座の猫は、ふくふく太って人懐っこかった。多分もうすぐ完全な球体に進化すると思う。あとドブネズミも丸々太っていた。ちょっとかわいかった。東京は恐ろしいところです。
道に迷って、目の前に啓示のように現れた黒猫(おなかに白いぱんつ模様あり)をひとしきりモフった後、見つけたペンクラスターさんは寿司屋の上にあった。
買うつもりはなかったんですよ(遠い眼で)……でもほら、ヴィンテージって一期一会だから。よくわかんないけどフォレスト・ガンプ的な意味で。だから私が始めて店に入る、その直前にドイツからモンブラン142が入荷されてても、それはもう運命の出会いとしか。
お店は狭いながらも美しいディスプレイで、ヴィンテージ万年筆が所狭しと並んでいる。先客が二人あったのでしばし眼の保養。見てるのは主に値段。手が出ないほど高価ではない、と言うのがポイント。いや、ものすごく高いのもあるけど。
で、最終的にペリカンのN400(茶縞)とモンブラン142に絞って書かせてもらう。ヴィンテージ初心者の王道だね!
私はペリカンによほど縁がないのか、いつも茶縞を見かけるたびに欲しいなあとは思うのだけど、どうしても比較検討している別のペンに手が伸びる。なんか、書き味が普通すぎてあえて選べない感じ。「仲のいいお友達でいましょう」みたいな……。
私がにやにやしながら試し書きをしている間暇そうにしていた旦那は、入れてもらったコーヒーを飲んでいたようだ。私は万年筆の方に夢中で口はつけなかったけど、美味しかったようだよ。カウンターに座ってゆっくり試し書きできる、なんか喫茶店みたいな雰囲気。
Montblanc No.142
店にあった時点ではまだ整備が終わってなくて、インク窓の色も判別できないような状態だった。ペン先は柔らかくてぺらぺら。書き味の面白さについ茶縞君を放り出す。
結局お預かりとなって、一週間後、禊を終えた142が私の元に届いたわけです。
Montblanc No.142
ニブはOBB。変態ニブだと思っていたら、なんか私の書き癖に合ってたみたいです。書き味がしゃきしゃきしてて面白い。ホワイトスターの外側に模様が掘り込まれているタイプ。ペン先の根元が細くてエロティックな感じ。私は根元がくびれているペンが好きなのだよ。ペリカンも146もずん胴で色気がない。そりゃあ財布の紐も緩むさ。反省はしているが後悔はしていない、と旦那に言ったら、反省のない後悔は何の意味もないと返された。再び銀座で道に迷いながら。
Nib
149EF、146M(ともに現行)と142OBBのニブサイズ比較。149でかすぎですwwwwだがこのくらいのガチニブの方が私の筆記にはあっているようだ。なんだか悔しいが。
OBBだが、そんなに筆跡は太くならない。Mの146の方がぺったりと幅広の印象。OBBはかなりスタブっぽい筆跡になるので、面白い上に字がちょっとだけ綺麗に見えるような気がする。心の目で見ると、だが。
それにしても、やわらかすぎるので逆に疲れる。力を入れすぎるとぺきっといってしまいそうで怖い。肩に余計な力が入る。ペン先全体がしなって腰が強いオノトとは違って、繊細すぎてちょっと……まだ長時間の筆記には使えない。
white stars
そしてホワイトスター。これはなんだか現行のほうがかわいい気がする。142はアイボリーと言うか経年変化。エッジが丸いのもちょっと現行と違うところだろうか。
Montblanc 149 & 146 & 142
大きさ比較。言わずもがな、上から149、146、142。初めて並べてみたが、149と146の長さがあんまり違わないことに驚いた。149が
ハンプティ・ダンプティに見えるよ……
テレスコープ式の吸入は初めてだったので緊張した。何とか上手く行ったみたい。尻軸をまわしていると一度抵抗で止まるのだが、その後を更にまわすのが怖い。ばきゃ、とか行きそうで。
まだまだ意思疎通が大変そう。腫れ物に触るように扱っている。半年もすれば慣れるのかしら。
それにしても次なる問題は吸わせるインクだ。一応プライベートリザーブのミッドナイトブルーズを入れてはいるが、なんかちょっと違う気がする。やっぱり純正の黒、いやウォーターマンの黒……(にやにやしながら)楽しいです。

4 Comments

  1. takaya

    おめでとうございます。ついに魔道の王道、ヴィンテージに行かれたのですね。それもかなりの掘り出し物のお宝とお見受けいたしますゾ。羨ましい限りです。
    小生も最近はオブリークに関心があり、興味深々です。さて、その筆跡・筆致たるや如何に・・・。
    乞うご期待?次回を楽しみにしています。

  2. 深崎

    >takayaさん
    これって掘り出し物なんですかねえ……よくわかんないんですけど。第一印象から決めてました! みたいな?
    ヴィンテージにはまったら抜け出せなくなる、確かに魔道の王道のようです。恐ろしい。
    オブリークは意外と私の書き癖に合っているようで、ストレスはあまりないですね。ペン先が幅広で薄いので、ものすごくスタブっぽい筆跡になって楽しいです。ミュージックニブに手を出したら負けだと思ってる。

  3. しげ

    いつも楽しく拝見しています。私もふとした切っ掛けから思い出したように万年筆を愛用しています。オールドナポリ・ドルチェ、魔道は恐ろしいですが、同じような方がいて逆に安心します。これからもお教え下さい。

  4. 深崎

    >しげさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    赤信号もみんなで渡れば怖くない、みたいな感じなんですかね……。魔道は恐ろしいです。増えてゆく万年筆、減ってゆく残高。ぎりぎりのラインで踏みとどまる勇気も必要ですよね……!(M1000買いました)
    拙いブログですが、魔道を歩く参考になれば幸いです。

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