買ってしまいました。使い道もないのに。入れる万年筆がないインクが続々と溜まりつつあるのに。そもそもグレー系ってあんまり使わないのに。
しかし、名前がまずいよね。『霧雨』って、『冬将軍』って、格好いいじゃないか。つい食指も伸びるというモノです。PILOTめ! しかも品薄だろうからさすがにここには置いてないよね、ってふらりと入った文房具屋に、各々在庫1個だけあった。ちょっと、空気読んでーーー! 売り場に出てたのが1個だけなのであって、多分私が買った後に補充してたんじゃないか。また文房具屋の策略にはまってしまったのか。
こちらは『霧雨 kiri-same』。その名の通り、明け方の深い霧に沈んだ街路のような色合い。有り体に言えば薄墨。でもただの灰色ではなく、微妙に赤に寄った、コンクリートだけではない、やわらかい色調の灰色。
ブログ『万年筆が好きである』さんのこの記事にあった文字に惚れてつい買ってしまったんだけど、まあ、私は字が下手だからね……インクにもペンにも申し訳なかった。反省はしている。
『冬将軍 fuyu-syogun』は、正直なぜ今の時期にこの名前でインクをリリースしたのか疑問が残るが、確かに雪が降り出す直前の、青暗い、厚い雲の中心部の色に似ている。青に寄ったグレーだが、ブルーブラックが10年経って褪色し始めたような色合いなんじゃないのかなあ。何となくだけど。
最初は正直この色どうしよう、と思ってたんだが、今日一日LAMYのサファリ(Mニブ)に入れて会社に持って行っていじり倒したところ、ああこれはテオ・アンゲロプロスの『こうのとり、たちずさんで』の映画のイメージの色だ、と気がついた。私の大好きな映画であって、そう思ったらもうこの色が大好きになってしまった。単純なモノだ。何となく、映画の色調とこのインクの色合いが妙に馴染んでいる気がする。アンゲロプロス映画のあの曇天の色が凝結しているような、そんな感じの色。
そしてこの色で試し書きするのは、宮沢賢治がいいなあと思っていた。特に『春と修羅』の序文。私が暗記している数少ない詩の一つ。なんかこう、美しい日本語を書きたくなる色だった。
フローはかなりいいと思う。濃淡は結構出る。太目の万年筆で使うと吉だと思う。なんだかんだで薄いから、使い所は難しいかもわからんね。それでも、買って良かったと思った。最初は『霧雨』だけ買おうと思ってたから、「迷った時は両方買え」という本能は正しかったと見える。重畳重畳。
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[stationery]奥さんがいきなりインキミックスに挑戦
浪費家の私に比べて、うちの奥さんは倹約家である。万年筆にはまった私に付き合って、プラチナのPKR-2000-G (id:pgary:20080929/p2) を使うようになったが、もう少し良いペンが欲しくなったんじゃない?と話を振ってみても、いやこれでいい、これが気にいった、とにべ