ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
Pelikan M800 バーントオレンジ

Pelikan M800 バーントオレンジ

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因果はめぐる糸車……と、申しましょうか……こうなったのには理由がある。
まず、今年2月に旦那が極黒レベルのブラック企業から、色彩雫の霧雨くらいのグレー? 企業に転職を果たしたこと。それに伴って休日が増え(土日がきちんと休めるようになった)二人で出かける機会が増えた。で、今日は何処行く? 銀座とか行っちゃう? みたいな会話が生じるようになり、折角だからボンディでカレーを食べましょう、と一路神保町へ。ここでは「金ペン堂に寄る」というミッションを華麗にスルーした、出来ていた。危なかった、まあ別にドルチェビータもってるしね! って事で、三田線乗って日比谷まで。でも別に用事があるわけじゃないね、伊東屋行ったら中屋の万年筆とか見ちゃうし……悪魔の館? いやいや流石にそこまではちょっと……あっそうだレモン社。あそこならレンズとかも置いてあるし冷やかすのに丁度よくね? よくね?
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Souverän M800 burnt orange.
一瞬先は闇……と、申しましょうか……ひとたび足を踏み入れたレモン社を後にする時、何故か私のバッグの中にはプチプチに包まれた(懐かしい)ペリカンの箱が入っていたわけでありました。
正直、最近、ほんと万年筆に関する情報を仕入れていなかった。趣味の文具箱すら読んでいない。だから、M800ベースの限定品が出てたなんて知らなかったんです本当に。意図的に情報収集を避けていたと言ってもいい。寝た子を起こすような真似をわざわざすることはない……でもね、魔が差した、というか、一期一会、ってこういう事だと思いました。痛感しました。
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何故なら、レモン社の硝子ケースの中には2本のペリカン バーントオレンジが鎮座ましましておりましたのですが、片方に注意書きがあったのであります。
「金ペン堂保証書つき」
トラップ? これってトラップだよね?
思わず二度見して、それから一度店の外に出て、あのオレンジ軸の万年筆が2015年9月に発売した限定品でまあ大体の値段を知りました。ググりました。本当は同じ段に並んでいた70年代のモンブラン149(EF)も欲しかったけど、どうせ149を買うならもう一寸遡ってテレスコープのがいい、それにEF持ってるし。ここで「両方買う」というコマンドを発動させてはならない、絶対にだ。
店員さんを呼んで、ケースから出していただきました。ルーペもくれたのでペンポイントとか眺めてみたけど「綺麗だなあ」という感想しかない。試し書きも別にしなくていいと思ってた、だって金ペン堂なんだもの。
でも一応、ピストンの調子とか見とくか、と思って回してみたらインクと水が溢れてきたので吃驚した。トレー汚してごめんなさい店員さん。すぐ洗浄してくれましたが、ピストンも問題なく動きました。硬いとかもない。
で、つけペン状態で試し書きさせて貰って、お、Fにしては一寸太めか? それにペンポイントも丸いというより昔のペリカンの平研ぎみたいだなーと思った。フローは分からんが、金ペン堂なら間違いないだろう、と、特に気にはしなかった。
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インク窓ない。私は元々インク窓いらない派なので、むしろなくて良かったように思う。だってその方が軸が綺麗に見える気がするから。
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ペン先の子供ペリカンは1羽。ルーペで確かめたとおり、綺麗なペンポイントでなかなかいいと思う。キャップの色は黒だと思ってたけど、よく見たら焦げ茶だった。M800と見比べてやっと分かる程度。
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我が家のペリカンファミリーを並べてみた。奥から、M1000M800焼きミカンおぼろ昆布
こうしてみると、バーントオレンジとM800は天冠は違うけどサイズ感は全く一緒。それに、M1000も意外と飛び抜けて大きいというわけでもない。
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天冠が一個だけ黒くない。うちのペリカンは皆少子化モデルですね。そう言えばペリカンのビンテージはひとつも持ってないな。
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M1000とM800の一番の違いと言えば矢っ張りペン先のサイズなのかな。金属の質が違うとは思えないが、あのしなりの違いを大きさだけ出だしてるとは思えない。M1000は地味に大好きだ。そして金ペン堂で買って使い込んだM800は、あるとき突然唐突に、「あっこれ物凄く書きやすい」と気付いた。それ以来、金ペン堂は盲信してる。でも、フルハルターで自分の書き癖に合わせて調整して貰ったおぼろ昆布も大好き……結局早いが遅いかの違いしかない。金属が摩耗する以上、インクフロートかピストンの不具合とかペン芯の不具合とか除けば、どうやったって使い続けていれば自分の書き癖通りに削れていくんだ(悟り)
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我が家のオレンジ軸まとめ。モンブランのはオレンジじゃなくてコーラルレッドだが、まあ、遠からず近からず。この写真じゃ分かりづらいだろうが、ドルチェビータと比べてみると、キャップの色が黒じゃないって事がわかる。
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ドルチェビータの軸は本当に美しいなあ。色合い的に一番好きなのはモンブランのコーラルレッドだけど、と言うかビンテージモンブラン大好きなだけだけど。
ちなみに、まだインクは入れていない。何時ものヴァーティグリースにするか、モンブランのブルーアワードにするか、まだ迷ってるから……
今夜はここで力尽きたので、焼きミカンを箱に戻して眠ることにした。なんか久し振りにテンションあがっちゃったなあ!
しかし、金ペン堂でわざわざ調整した限定版の万年筆を、こんな短期間で手放すってのはどう言う理由があるんだろうか。不具合があったなら金ペン堂で修理して貰えばいいし、物凄く書き味が気に入らなかったとか? 軸にも傷があるわけではなし、なんか色々と不思議な出会いだった。あ、持ってるとなんか悪夢(親ペリカンに丸呑みされる)を見るとか心霊系?
まだインク入れてないから見ただけでは分からない決定的な不具合がある可能性が捨てきれないとはいえ、金ペン堂の判子の押された保証書を前に色々妄想してしまった。中古はこういうのが面白い。古本の謎の書き込みとかね。なんか深い理由があるのかないのか、まあ、うちに来て貰った以上は大事にしますけれども。でも夜毎悪夢を見るようになったら速攻で売り払うけどね!

2 Comments

  1. Palermo

    久しぶりの増殖ですね。
    おめでとうございます。
    私も今日某所にて数年ぶりのペリカンを買ってしまいまして、タイムリーだなと思いながら読ませてもらいました。
    ちなみに私が買ったのはM800グランプラスです。
    茶色の軸にブルーが流れるように入っているものだったので、茶軸持ってないし、なんとなくアウロラの大陸シリーズに似てるけどあっちは円安ですごく高いしペリカンはお得だなというよくわからない思考回路に陥り購入。
    さ・・・3割引価格だし・・・後悔はしていない・・・

  2. 深崎

    >Palermo さん
    やっちまったなーとは思ってます(思ってるだけ)矢っ張り久し振りに増殖させるとテンション上がりますね。
    グランプラス、綺麗ですねえ。個体差がありそうで、これは絶対店頭で選びたい奴じゃないですか……三割引ならセーフですよ! 何がアウトかは分からないけど!
    そういえばアウロラ持ってないな、って事に気付いちゃったのは秘密です。

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