川窪万年筆店でペン先調整レポ

去年の年の瀬、川窪万年筆店へ行った。サイトの予約フォームから依頼内容と日時を予約して、会社帰りに意気揚々と出かけたらまんまと道に迷った。一度行ったことがあったからって、地図を見ずに歩いたのがそもそもの間違いだった。私は方向音痴だ。いまだに山手線の内回りと外回り、どっちに乗ったらいいのかわからない。どうも角を一つか二つ早く曲がってしまったらしく、住宅街に迷い込んでしまった。予約の時間は迫る、暗闇でのダッシュ、結局諦めてお店に電話したらお母さんがでて、道を教えてくれた。三田線千石駅から行くときは、なんかキリスト教っぽい建物と白い像が目印ですよ。すでに5分ほど遅れていたので走っていくと、お店の前に出てお母さんが待っていてくれました。ご迷惑かけてすいません……。
お店に入ると、ご主人は工房の方にいらっしゃる様子。呼んでくるから待ってて、とちゃぶ台の前に通された。ストーブあったかいです。そして、もうひとり私を迎えてくれたのは、可愛らしい三毛猫さんでした。最初警戒していたものの、手を伸ばして教えてもらった名前を呼んでいると「このぬんげん、無害」と認定してくれたのか、モフらせてくれた。かわいい……ご主人が来るまでの間、お母さんと猫の話をする。ご長寿猫らしく、立ち居振る舞いも落ち着いておられます。
お願いしたのは、ペン先調整。太すぎる146のペン先を、スタブっぽくちょっと細めにしてもらいたかった。ご主人はちゃぶ台にグラインダーって言うの? 歯医者で歯を削るような奴とそのヘッドを並べて、インクを入れたままの146をじっと眺めたあと、おもむろに削り始めた。
専門家の技術は凄い。何度も紙に書いて線を確かめながら、希望通りの太さになるよう時間をかけて磨いで下さった。研いだペン先を、図に書いて納得するまで説明してくれる。時間は30分以上かかった気がする。その間に私は猫と遊んだりプロの鮮やかな技を羨望の眼差しで見つめたりと忙しかった。全力疾走した所為で、首の辺りはものすごい汗をかいていたのだが……。
削りながら、いろいろお話してもらった。ヘッドのこととか、猫のこととか。ヘッドは東急ハンズの袋に入ってた。もっと万年筆の話をすればいいような気もしたが、なんか集中してるところ邪魔しちゃ悪いような気もしたし。
あと、書き癖の話をして、ちょっとオブリークっぽくしてもらった。その時はセーラーのインク工房で作ってもらったインクを入れていたのだが、しきりに「これはフローが凄くいいなあ」とおっしゃっていたのが印象的だった。
お店の方に入ったのは初めてだったのだが、普通の文房具屋とは随分違う。母屋の玄関に小さいショーウインドウがあって、控えめに万年筆が並んでいる。国産と、覚えているのはLAMYの鮮やかな色かな。あとはインクとか。突然訪ねていってイタリア万年筆を選んで買って持ち帰る、と言うことはできないっぽい。
最後の試書きをしている頃次のお客さんがついたので、お母さんと猫さんに挨拶して辞去。今度なにか調整があったら川窪万年筆さんにお願いしようとやっぱり思った。いやむしろ猫さんに会うためだけに通ってもいい。猫かわいいです。
お店の隣の千石空房でフリーマーケットしてるときは基本調整料がただになるよ! 調整済みの万年筆も買えるよ! でも猫さんにはあえませんでした。無念でした。
そして現在まる1ヶ月が経過し、新しいペン先にもなれ、ぐりぐり使っております。Bニブ相当の線だったときにはノートには使えず(7mm罫)出番が減っていた146だったが、今はOM相当になり使いどころも増えました。一度調整してもらうと愛着もましますな。大事に使い倒そうと思います。

川窪万年筆店でペン先調整レポ」への6件のフィードバック

  1. 大切な万年筆はいつでも肌身離さず持っていたいものですし、完全な状態で使い続けたいと思います。その為には調整をして下さるお店さんが必須だと思いますね!
    川窪万年筆さんは以前から知っているのですが,東京と言う事もありなかなか伺う事が出来ずにいます!それに道に迷う可能性もあり(笑)、水先案内人を誰かに頼まないと行けない様な気がします!
    プロの仕事って横で見てるだけでも楽しいんですよね~その気持ち良くわかります!

  2. こんにちは。
    そうでうか、川窪万年筆さんではその場で調整していただけるのですね。
    実は私の149もEFなのに国産のB相当で、駿台下仕様なのでフローは申し分ありませんが手帳やノートには少々辛い時があります。最近はもう少し細めに調整が出来たらいいのになぁ・・って思っていた所でした。しかもかなり細かく微妙な要望も聞いて頂けるようですね。
    信頼できるプロフェッショナルは数多(アマタ)いらっしゃるのでしょうが、そうそうお試しという訳にもいきませんし、実際に出されたナマの情報はとても助かります。深崎さんのブログは本当にお役立ち度№1です。
    ちなみに149を2本持っていますが、EFとMでペン先の長さが結構違う(2ミリ位)事に気が付きました。Mニブの方は根元の149の刻印が見えますが、EFは首軸の中に入ってしまい見えません。EFのペン先挿込み状態って149の刻印が見えないのが正常位なのでしょうかね?

  3. >たがみさん
    川窪さんは基本的に駅から一本道で一度曲がるだけなんですが、その曲がる場所を間違えると複雑な住宅街に迷い込んでしまうんです。夜だったし、人通りはないし……なんか工事してるし、ものすごい寂しさでした。是非、昼間の訪問をお勧めします。
    調整は、ほんと見てるだけでも楽しいです。あと猫も可愛いです……。
    >takayaさん
    川窪さんは要予約です。予約がないとみんな預かり調整になるってサイトに書いてあった気がします。実は私の146も駿台下仕様だったんです……なんか別のお店にお願いするのは罪悪感がありましたが、太すぎて使えない、ではもったいなくてもったいなくて。決意して出掛けましたが、大変満足です。ただ悩ましいのは、次に故障した時にはどっちに持っていけばいいのかな、と……
    今手持ちの149EFを確認してみたのですが、刻印は585の位置までしか見えませんでした。146も142も同様です。この状態でもペン先でかいなあと思っていたのに、これより2mmも長いって凄いですね。モンブラン、奥が深いです……

  4. ご無沙汰しています。
    私の149、146、145を確認しましたが、145以外すべて首の中でした。2ミリの違い、注目していきたいと思っています。
    川窪さんはまだ伺ったことはないのですが、最近ドルチェのミディアムMとナポリMのフォーローの違いが気になります。ミディアムが細いのですよ。この間kingdom noteでみたオーバーサイズBの試筆の心地が忘れられなくなっています。
    あー、マリーナ飾ってありましたね。いえいえ、手は出していませんよ。なんか入り口のあれを見ると「深崎様ご予約済み」って張ってあるようで・・・・。
    インクは何が良いですかねー(笑)。

  5. >しげさん
    予約 し て ま せ ん (笑)
    ほら、現行品だしいつでも手に入りそうだし……って自分を騙すのにも苦労します。早く中屋が届けば一時的に物欲を抑えることができるんですが。
    インクはねー……ボディが青だからブルーブラック、とか王道を行くのか、それともここはあえて渋く黒を選択するのか、迷うところです。まだ買ってもいないのに!(ブルーブラックならヤードがいいかなあ)
    キンクダムノートは魔窟ですね。ご店主に話しかけたら最後、飼わずには出られないような雰囲気です。
    それにしてもオーバーサイズ、まだ手に入るんですね……(ゴクリ)

  6. 私は2005年ごろにインペリアル・エボナイト製万年筆を注文してお金も先払いしたのに、2012年の今も手元に届きません。
    不快な思いをしていない方もいらっしゃいますが、反面川窪万年筆店の悪質な詐欺に憤っている人もいます。皆様お気をつけください。

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