ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
2008年万年筆まとめ

2008年万年筆まとめ

戒めのため、今年買った万年筆を総ざらえしてみる。正直眩暈がした。
■ 1月12日:プラチナ万年筆(型番不明)
買ったわけではないけど、一応入れておく。
実家の押入れの中から確保。父がどこぞで貰ってきたらしい。型番は不明だが、プラチナ・プラチナではないかとの情報あり。
めちゃめちゃ細字。舶来EFより断然細い。書き味はカリカリではなく、やわらかい。コンバータを差し込んである辺りからインクがじわじわ漏れてくるので、今のところ眠らせている。色彩雫の月夜を入れたらすごく綺麗だった。
■ 5月12日:40年代オノト
丸善のヴィンテージ筆記具フェアでユーロボックスより購入。買ったのは3月だが、手元に届いたのは5月。
初めてのヴィンテージだが、その書き味にはまる。やわらかい……最初はおっかなびっくりだったが、今ではにやにやしながら使っている。モンブラン黒インク使用。これはもう鉄板。
鼻を近づけると墨のような匂いがする。懐かしい匂いだ。
■ 5月19日:DELTA ドルチェビータ ミディアム
結婚式記念と言うことで自分を騙した。だって欲しかったんだもん。
ニブはM。インクは紆余曲折あってウォーターマンの黒に落ち着いた。金ペン堂でちょっとフローをよくしてもらった。さすがに書き味がいい。大きさも太さも重さも自分の手にしっくりきている気がする。かなりヘビーローテーションだと思う。
■ 6月14日:LAMY サファリ限定ライムグリーン
とりあえず祭りに乗っかった。ボールペンは机で使っているが、万年筆は主人に取られた。と言うか貸し出した。ニブサイズはMだが、割と太目の線が引ける。書き味は「まあLAMYだよな……」と言った感じ。アマガエル色でかわいいです。ボールペンの方は可もなく不可もなく……
■ 8月11日:DELTA オールド・ナポリ
初めてのBニブ。この辺りからだんだん迷走し始めている気がする。
金ペン堂で調整してもらって、にゅるにゅるの書き味になったオールド・ナポリ……インクはドクター・ヤンセンのヴェルディを入れている。最初は黒だったが、Bニブの筆跡ではあまりにも存在感がありすぎるため、悩んだ挙句今まで避けてきた青系インクに向かうことになった。ある意味転換点となった万年筆ではある。
尻軸のキャップネジ溝にキャップをはめたとき、クリップとペン先が真っ直ぐになるような個体を選んでもらった。わがまま言ってすいません。キャップは尻にはめて使う派です。
■ 8月27日:モンブラン 146 プラチナライン
もうこの8月、頭がおかしくなったとしか思えない。何本買えば気が済むの、右手は1本しかないのよ? と、私の中の理性が叫んでおります。でも金ペン堂でモンブランの取り扱いが終わるって言うから……カモになった気分でネギを背負って雨の中金ペン堂まで行きました。なんかの撮影でリリー・フランキーが来てた。
インクはまだ迷っている。黒ではない、だがドクター・ヤンセンのナポレオンでもセーラーのインク工房で作ってもらった色でもレーシンググリーンでもしっくりこない。なんかこう、ぴたっとはまるインクがあるはず。まだ探している。サイズ的にはちょうどいい大きさなのだがな……
■ 11月10日:モンブラン 142
買うつもりなんかなかった。ほんとだよ。
ヴィンテージにずぶずぶはまり込む原因になると思う。OBBニブ楽しいです。サイズが小さすぎるきらいはあるが、書き味が楽しくて仕方ないので手首が痛くなろうが使い続ける覚悟。テレスコープ初体験。
インクはモンブラン黒。店頭で見かけたときドイツからついたばっかりだったという142。彼の国では一体どんなごついドイツ人が使っていたのだろうと思いをはせながら、渋いインクで文字を綴るのです。
■ 11月18日:ペリカン M1000
ザッツ王道。これは数年前から「30歳になる誕生日にはM1000」と心に決めていたので嬉しいです。本当は誕生日1月だけど、主人が先走って買ってくれた。
正直、最初はなんだこれふにゃふにゃしてんなあ書きにくいよ、と思ってたけど、すいませんでしたと謝罪したい。面白い。今一番面白い万年筆。インクはウォーターマンのブルーブラックを入れている。ペン先のたわみとインクの濃淡がたまらない。インクタンクいっぱいにしたはずなのに1日でインク切れとか。フローよすぎるちょう楽しい。
まだ歩み寄りを待ってる状態だけど、それもまた楽しくて仕方ない。
正直、私は頭がおかしいんじゃないかと思った。歯止めが全然効いてない。なんだこれ、一体何本買えば気が済むんだ。物欲に振り回された年だった。明らかにおかしいもん、収入と支出がつりあってないもん。
しかし、M1000である程度たどり着いちゃった感があるので、来年はちょっと自重しようと思う。でもデルタのカプリコレクションのマリーナ・グランテとか中屋の漆塗り万年筆とか欲しいけど。あとヴィンテージの146とかオノトとか欲しいけど。物欲盛り上がっちゃってるけど。
今年は狐につままれたように終わった。来年はもうちょっと考えて財布の紐を硬くしたい。だが反省はしているが後悔はしていない。万年筆かわいいです。

10 Comments

  1. REMi

    深崎さんに影響されて誕生日にドルチェビータミディアムを手に入れてしまいました・・・・もち金ペン堂さんで!Mニブです。
    趣味の文具箱よりも深崎さんのブログ見るほうが物欲が刺激されます!
    万年筆の記事をいつも楽しみながら読ませていただいています^^
    万年筆はハマると抜け出せないですね。。同様にインクも。無駄に増える。
    ドルチェビータ私はモンブラン黒を入れているんですが、ウォーターマン黒のほうが良いですか?
    金ペン堂ご主人の、ウォーターマン黒は詰まりやすいっていうのを聞いてなかなか使えずにいます・・・色はすごい好きなんですけども。

  2. 深崎

    >REMiさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    刺激されちゃダメですよー(棒読み)
    楽しみにしてくださってどうもありがとうございます。来年は自重しますよー(多分)万年筆道は深いです。そしてインクも。業の深い話です。インクが増えすぎて引き出しに収まりきらなくなりました。現在、最強の布陣を模索している最中です。
    ドルチェ、私も以前はモンブラン黒を入れていました。黒はそれで統一していたのですがなんとなく物足りず、ウォーターマン手を出してしまったのですが……あれは詰まりやすいのですか。知りませんでした。今のところ特にトラブルはありませんが、ブルーブラックはお勧めだから大丈夫なのかと思ってました。同じメーカーでも色によって違うんですねえ。勉強になりました。言われてみれば確かに粘度高そうかも……
    インクはどれがいいか、それはご本人次第と言わざるを得ないのですが、趣味の文具箱12に、ドルチェビータには何色のインクが合っているか? なんて記事もありました。私は派手なオレンジから地味な黒が出てくるのが渋いなあ、と思ってにやにやしているので……お役に立てなくてすみません。モンブラン黒は一番好きな黒であります。

  3. REMi

    ウォーターマン黒、以前金ペン堂でウォーターマンのチャールストンを買った時に、インクを黒がいいですと言ったらモンブランを勧められまして、
    その時に、ウォーターマンの黒は透かすと青みがかっていて、青み成分が入ってる分詰まりやすいとかなんとかおっしゃってましたご主人が。
    うーんでも深崎さんが使っていてなにか不具合がないのなら私も使ってみようかと(笑)モンブラン黒、いいんですけどひとつだけ使ってると飽きてきてしまうんです。。。
    趣味文の12、そんな記事が載っていたのですね!チェックしてみます。
    でもアマゾンじゃもう買えないみたいですし、手に入るのでしょうか^^;
    ドルチェビータに限らずコンバータを使う万年筆には棚吊り現象に悩まされているのですけれども・・・深崎さんは大丈夫ですか?
    ドルチェビータもインクいれたての時と、しばらく経った時のインクの出があまりに違って、コンバータを回すと良くなるので(あたりまえですけれども)たびたび軸を開けて回して使っているんですが・・・
    コンバータの中でインクが上の方に止まってしまって降りてこない現象を棚吊りというそうで、解消するには中に小さなビーズのような球体のものをいれるかバネをいれるかするといいそうなんですが、なかなかうまくいかず・・・
    なにかいい方法はないかと模索しています。

  4. 深崎

    >REMiさん
    以前私が棚吊りコンバータに当たってしまった時は、水で薄めた中性洗剤を何度か(コンバータだけで)吸入・排出して、その後水で洗ったら直りました。どこかのブログからの情報だったと思います。薄めたとはいえ、ペン先を付けたまま洗剤を吸入するのが怖くてコンバータだけ外したのはいい思い出です。ビーズは探すのも面倒そうだったので、これで駄目なら買い換えようと思ってました。
    ドルチェ、多少フローは多めにしてもらっているのですが、今のところウォーターマン黒で快調です。ほぼ毎日ちょっとずつ使っている状態で、もう四ヶ月くらいになりますか。青味成分が詰まるんですね。いいことを知りました。ありがとうございます。
    趣味文の記事は、『色で選ぶ軸とインクのベストマッチ』というもので、いろんな軸色の万年筆にいろんな色のインクを入れてみてどれが綺麗か探そうぜ、みたいな見開き1ページの特集でした。その中の1本がドルチェビータのオレンジで。大きい本屋にはまだ置いてあると思います。私は神保町の三省堂で買いました。

  5. takaya

    お見事な08年の総括ですね。
    私も万年筆魔道元年から抜け出られぬ年でした。
    フルハルターで森山モデル3本。(M8003B、M400B→M、PILOT823C)
    金ペン堂で2本(№149のEFとM)
    セーラープロギア2本(FとB ペンクリで川口仕様)
    PILOT カスタム74 MSニブ
    そして12月の〆はデルタ ドルチェビータM(アメ横)でした。
    人のせいにするつもりは毛頭ありませんが、私も深崎さんのHPの影響がかなり大です。
    反省と後悔。ヴィンテージだけは今のところ踏みとどまってますけど、まぁ来年も同じことを繰り返しそうですけが・・・。
    良いお年を!!

  6. 深崎

    >takayaさん
    いやいやいや、takayaさんものっそい魔道歩んでますね……森山モデル3本とかwwwM8003Bとかすげえwww
    ……ヴィンテージ楽しいですよ? M1000とは別種の軟らかさです。つっても2本しか持ってませんけど。これからそっちの方に流れていきそうで怖いです、自分が。自分の物欲が。
    しかしそうすると、私も万年筆業界の繁栄に微力ながら一役買ってるってことでしょうか。だったら主要な万年筆メーカーは私にフラッグシップモデルを1本ずつくれたらいいのに。具体的にはデルタのマリーナ・グランテとかを。あ、ニブはMでいいですよ。最近Mくらいが一番使い勝手がいいって気付いたところだから。
    takayaさんもよい万年筆魔道二年目を。

  7. しげ

    見事な総括です。パチパチパチ!!
    私の総括は、
    パーカードュオフォルド・クロワゾネ、ビックレッド(ビンテージ)、ブラック
    ペリカンM1000緑、M800青、M600赤、M205スケルトン
    MB146プラチナライン、ドルチェビータミディアムなどです。
    確かに趣味の文具箱より深崎さんに物欲を駆られた2008年でした。(笑)
    でも、思います、正しい自分への投資だと思うし、万年筆好きに悪い人はいません!!
    来年もたくさん探して、たくさんスケーティングさせていきましょう!!

  8. 深崎

    >しげさん
    そんなに刺激されないでください……M600とか欲しくなるから。来年は抑えますよ、厳選しますよ。ヴィンテージ楽しいです(><)
    万年筆好きに悪人なし、は同意です。そして猫好きに悪人なし、も真実かと。
    来年は沢山書きたいです。沢山集まった万年筆を満足させるくらいに書き倒したいです。あとマリーナ・グランテ欲しいです。

  9. しげ

    そうですね。スケーティング大事です。スケート場(紙)も選んでね。
    私の次にいきたいスケート場は、丸善原稿用紙です。
    M600握り最高です。燃料はペリカンブルーブラックを入れています。
    追加のご報告です。年明け、オールドーナポリホワイトMがやって参ります!!
    世界が騒がしくなっても、万年筆たちは快くスケーティングしてくれます。
    内需拡大!笑う門には福来る!!
    深崎さんに期待です。
    (ちなみにペリカンのインクもアキバヨドで安いですよ~(笑))

  10. 深崎

    >しげさん
    オールドナポリはよいペンです。ただ勢いあまってBニブを買ってしまったため、意外と使いどころが難しい感じです……今はドクターヤンセンのヴェルディを入れていますが快適です。そして私に期待しないでください。マリーナ・グランテが欲しいとか思ってませんから。モンブランのヴィンテージとかM600の森山スペシャルとか中屋とかオノト・マグナとか思ってませんから!
    最近、モンブラン作家シリーズのアガサ・クリスティがすこぶる格好良く見えてきました。いろいろ麻痺していると思います(主に金銭感覚)

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