ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
ドルチェビータ ミディアム sweet hereafter

ドルチェビータ ミディアム sweet hereafter

DELTA DOLCEVITA SISTERS
先日期せずして1ヶ月ほど早めに手に入ってしまったドルチェさん、ここ数日故あって2日でカードリッジが空になるほど使い込んでしまったので、使用感など記してみる。
まず、Mニブ気持ちいい……ソワレのFとはまた段違いの気持ちよさ。万年筆にはまってゆく人間が、最初は実用性を考えてFとか言っておきながら、どんどんこの気持ちよさを求めてM、B、3B……とクラスチェンジしていく理由がよくわかった。
7mm罫のノートに横書きするにはちょっと太すぎるかな、と思ったらそれほどでもなかった。線の太さで言えば、ペリカンのひらぺったいニブの方が同じMでも筆跡が太くなる。デルタのニブは丸くって、紙に当たる角度をそれほど選ばない。
少々手に余る大きさかなあ、と思っていたが、使い慣れてみたらそんな事もなくすらすら書ける。ペンに振り回される感覚もない。確かにソラリス(一回りくらい小さい)に比べれば大きくも感じるが、スピードに乗ってしまえば意識すらしなくなる。
18金ペン先は、確かに紙に当たったときの感覚がやわらかい。金属部分が薄いヴィンテージとは別種の柔らかさ、と言うか優しさ、のようなものがある。オノトはふわふわ、ドルチェビータはアタックが優しい。オノトがサイモン&ガーファンクルだったらドルチェはレディオヘッドみたい、な……?
個体差なんだろうか、ドルチェビータは尻軸にキャップを刺すとちょっときつい。段差になっているところまできっちりはまらない。書いてるときに抜けたりしないから別にいいんだが、傷がついたら厭だなあと思う。ソワレのキャップをはめてみたら奥まで入ったので、尻軸の方が太いんだろう。安産型の女性みたいね。
ペン先をじっと見ていたら、裏側のペン芯の部分が少しずれていたような気がしたので、爪で押したら真っ直ぐになった。しばらく書いていたら、インクの出が悪いと言うほどではないが弱くなった。慌てて元に戻したら、それ以来快調な滑り出し。これが金ペン堂の調整なんだろうか。恐ろしいことをしてしまった。自分で分解するのは、駄目、ゼッタイ。
とにかく、ドルチェさんには大変満足している。いろいろ悩んだ挙句、入れているのはモンブランの黒だ。面白味がないようだが、あのオレンジの鮮やかなボディから渋い黒インクが出てくると言うのも侘び寂があっていいような。
ドルチェビータを見ていると、ゴダールの『軽蔑』に出てたブリジット・バルドーを思い出す。

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