ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
プラチナ萬年筆/型番不明

プラチナ萬年筆/型番不明

プラチナ萬年筆
これは、私が生まれて初めて目にした万年筆だった。たぶん10歳前後、戸棚の中で偶然見つけて一体これは何だろうと不思議に思った記憶がある。そしてそのまま忘れ約18年、立派な万年筆ヲタに育った私は、正月休みで実家に戻っている間、不意にそのことを思い出したのだった。
両親に尋ねると、確かにそんな万年筆があったような気がすると言う。おぼろげな記憶を引きずりだす。「銀色で、細い格子模様が入ってて……」「ああ、あったあった」
ちょうど同じく実家に戻っていた姉と二人で、普段は開けないような戸棚を大捜索。マニュアルカメラを2台発見するも、目当ての万年筆は見つからず。だって20年近く前だもの、と諦めかけたその時に、母が一発で見つけてしまった。諦めたらそこで試合終了ですよ。
どうも、父が昔どこかでもらってきたものらしい。年代も分からない。一応プラチナ萬年筆の箱に入っていた。ペン先にもプラチナのマークが。
プラチナ万年筆
しかしまあ、ひどい状態だった。カードリッジ入れっぱなしでインクが乾いているし、ステンレスのボディは黒ずんでいる。とにかく何度もぬるま湯を変えながら浸して、ボディは消しゴムでごしごし。結構綺麗になった。その日帰宅予定だったので、とりあえず家に持ち帰り、また一昼夜漬け込んだ。どんどんインクが出てくる。固まってゴミみたいになった塊とか。
翌日、丸善でプラチナ用のコンバータを買って徹底洗浄。固まったインクが! いつまでたっても透明な水にならない! なんて大騒ぎしながら、なんとか洗浄終了。モンブランのブラックを入れて書いてみると、なんと筆跡が細いこと細いこと。
ペン先は細字だった。『細』って漢字で書いてあるもんね。でもモンブラン149のEF(極細)より格段に細い字が書ける。さすが日本メーカー。侮れない。
書き味はかなりカリカリしている。これから育てる。
インクフローも悪くなく、ちょっと使ってそのまま10年以上放置していたせいか書き癖も付いていない。ただ14金のペン先に曇りがあるのが気にかかる。これを落とすにはどうしたらいいのかな。金属磨きでも駄目だったし。
いろいろ調べてみたけれど、いつの年代のモデルか不明のまま。たぶん5000円くらいのものだろうとは父の談。
幼いころにこの万年筆を見た記憶が、現在の万年筆ヲタっぷりにつながっている気がしてならない。最初に買った時には、そんなこと完全に忘れてたのに。三つ子の魂百まで、って本当かも知れない。だったらしょうがないよね! と、増えてきた万年筆を整理すべく、コレクターズボックスを購入したことはまだ秘密。

4 Comments

  1. 深崎

    超音波洗浄は何度か試みまして、今現在、無事に使用できております。
    ご心配、どうもありがとうございました。

  2. 昔のプラチナ・プラチナですね。
    (プラチナペン先だけがプラチナ・プラチナという話もありますが)
    定価は1万円ですが、40年くらい前なので当時は相当高いものでした
    ボディもステンレスじゃなくて銀軸ですよ。
    消しゴム(プラスティック字消し)で奇麗になったのも銀だからです

  3. 深崎

    >セドリーさん
    初めまして、コメントありがとうございます。ブログ、以前から拝見させていただいていました。
    プラチナ・プラチナですか。うーん、銀? にしては、軽すぎるような気もします。でも銀だったらいいなあ。含有率とかの問題なのかなあ。こんなことなら万年筆祭りの時にプラチナのブースで訊いてみればよかったです。
    アドバイス、どうもありがとうございました。私のなかでプラチナ・プラチナに決めました。幸いペン先も傷んでいないし、大事に使おうと思います。細字なので、月夜を入れたら凄く綺麗な線が書けました。

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