ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
最近の一軍万年筆

最近の一軍万年筆

ここしばらく万年筆は増えていない。と言うか今年に入って一本も買ってない。これは凄いことですよ(代わりに色々他のものが増えたが)

物欲が別の方向にシフトしたというのがまず第一点にあるけれども、それ以上に、最近は使う万年筆が固定されてきたと言うのがある。ついそればっかり使っちゃう、みたいな。

まずはこちら。王道オブ王道のPelikan M800。手前のはバーントオレンジで、これは銀座のレモン社で中古で買ったやつ。だって金ペン堂の保証書がついてたからね……そりゃ確保するでしょ……

レモン社には結構お世話になったけど、もう中古万年筆は売ってないのかなあ。あのビルの薄暗さとか、エントランスに飾ってある教会の外壁とか好きだったのに。ネット通販にはないあの薄暗さと、これから財布の紐が緩むんだろうなあという罪悪感を覚えながらエレベーターに乗るあの感覚も好きでした。

バーントオレンジは、キャップの色が微妙にダークブラウンであるほかは、重さサイズ的にあんまり普通のM800と変わりないと思う。あとは限定だから天冠が金色でざらざらしてるくらい? しかしこのキャップのブラウンがなんとなくビンテージ感があっていい。並べてじっくり見たら分かる程度だけど。

ちなみにM800(緑縞)も金ペン堂で買った。まだペンポイントがスタブっぽかった頃の生き残り。結局一度も調整してもらってないけど、順調に育って今ではとても手に馴染んでかきやすくなりました。

向かって左手がバオーントオレンジのF(細字)

右手がM800のM(中字)

キャプションは間違ってない。バーントオレンジはFにも関わらずこの太さ、このフロー。インクがROHRER & KLINGNERのヴァーディグリース(フローがめっちゃいい代わりに裏抜けも超一流)であることを差し引いても字幅が凄い。俗に言う「ぬらぬら書ける」という奴で、これでトモエリバーなんかに書いた日にはいつまで経ってもページがめくれないくらいインクもりもりになるけど、書いてて凄く気持ちいい。アイデアを書き殴るには最高の万年筆だと思います。

M800の方はペンポイントがスタブっぽくなっている分、ちょっと捻ると引っかかる感じがある。最初は特に凄かったけれども、流石にもう10年以上使ってるので私の癖を飲み込んでくれたらしく、今ではいい相棒です。

インクはエルバンのグレイッシュグリーン。儚げな暗めの青緑で、これもフローはかなりよろしく、少し煮詰まってきたくらいの色が綺麗です。写真はちょっと明るく調整しすぎた。本当はもっと暗く落ち着いたお色です。

そんで中屋。中屋万年筆。最近ほんとこればっかり使っていると言っても過言ではない。

奥がポータブル緑溜(猫)で、手前が十角碧溜(虎)中屋の万年筆は漆の感触が特に良くて、無闇に軸をなで回しちゃうくらい気持ちが良いです。

向かって左が緑溜、右が碧溜。

ペン先はどちらも中軟でルテニウムメッキなんだけど、びっくりするほど書き味が違う。先に買った碧溜(右)はちょっと硬めで字幅も細く出る(でもフローはいい)けど、後から買った緑溜はペン先のしなりが凄くて字幅も太め。ペンポイント自体というよりは切り割りがしなって開く感じ……ふわふわした感触? かな?

どっちもどっちで書きやすいものだから、つい手に取ってしまいますね……あと廻り止めも可愛いし……

虎。本当はお尻の辺りが可愛いんですけど、この渋めの顔とキャップにしがみついた手が可愛い。

猫。まるでほら、あの宮澤賢治の「山猫のにゃあとした顔」みたいで可愛いじゃないですか。悪戯した時のうちの猫に似ている。目玉に石を入れてもらうことも出来たけどあえてやらなかった。やってもいいかなとは大分後になって思いましたが。

そういうわけで、最近万年筆は増えてません。それより酷いものが着実に増えつつあるのは置いといて、やっと万年筆が収集するためのものじゃなくて文字を書くためのものだと思えてきたというとこかもしれない。いやそんなのは当たり前なんでしょうが、なんかそれに気付くまでに大分時間がかかってしまったな……!

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