ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
川窪万年筆・万年筆作成ワークショップ

川窪万年筆・万年筆作成ワークショップ

川窪万年筆主催の万年筆作成ワークショップに行ってきた。エボナイト製の部品を使って万年筆を組み立ててみよう、と言う趣旨。
で、完成した万年筆がこちら。日本古来のインク止め万年筆です。
handmade pen
146と比較してみると、その小ささがお分かりかと。
まずは、キャップ、胴軸、首軸、尻軸に別れているエボナイトを磨くところから始まった。綿布で磨くと、何もつけなくてもだんだん光沢が出てくる。うちのエボ軸も磨いてあげようと思いながら一心不乱に手を動かした。親指の付け根が痛くなった。
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それから、コルクを選別したりペン芯を選んだりペン先を選んだりして、最終的に上の形に落ち着いた。ペン芯もエボナイト製であるため、ペン先との隙間がある場合には熱湯につけてペン芯を上にそり気味にして、それからもう一度熱湯につけて整形するとか、いろいろ初心者用の技を教えてもらう。
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少し大きめのペン先を選んだ。ペン芯は3本溝のインク量が多そうな奴。いろいろな種類のペン先・ペン芯が無造作にそろっていて、これを選ぶだけでも何時間でも悩めそうな気がした。
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尾線を引っ張り出してみた。ここに塗るグリースみたいのは少し分けてもらってきた。ある程度自分でメンテナンスをすることができるようになるため。インクは首軸を取り外して直接胴軸の中にスポイト注入。
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ヴィスコンティの青を入れて、LIFEのライティングペーパーに書いてみた。ペン先は極細。まあ細字しかなかったんだけど。なんかカリカリして、今まで使ったことのないタイプでそれはそれで新鮮。丸ペンの書き味にものすごく似ていて、文字よりも絵を描きたくなった。
結構、いやかなり面白かった。参加費は5000円で2時間半くらいかかったかしら。丁寧にいろいろ教えてもらえて、確かにペン先のちょっとした調整とかインクフローの改善とかは自分でできたらヴィンテージに走る上でいろいろ便利だろうなあと思った。結局最後のところは経験がものを言うと言うのも解った。素人が手を出してはいけない領域は確かにある。ペン100本潰す覚悟じゃないと……
しかし、よい経験だった。

4 Comments

  1. miazto

    ごらんなさい。向うのそらはまっさおでしょう。まるでいい孔雀石のようです。
    宮沢賢治「めくらぶどうと虹」より
    こんな空のようなインクってあるのかな。

  2. 深崎

    >miaztoさん
    あんまりインクには詳しくないのですが、すっきりした青緑、ということなら色彩雫の孔雀ですかね。セーラーの山鳥とか(使ったことないけど)……

  3. miazto

    孔雀と、山鳥は在庫がなかったので、紺碧とスカイハイを買ってきて試してみました。
    孔雀はとても素敵な色ですね。空のイメージにとても近いように思いました。ノート用のインクとして愛用します。
    ありがとうございました。
    2009.2.24の記事で孔雀で書かれた文章が気になっています。
    岡本かの子の葬儀の場面でしょうか。

  4. 深崎

    > miaztoさん
    孔雀、気に入っていただけたようで何よりです。
    あの記事の文章は、ドストエフスキーの「白痴」下巻のラゴージンの台詞です。岩波文庫版だったかな。

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