ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
PILOT 色彩雫 孔雀

PILOT 色彩雫 孔雀

丸の内オアゾには、色彩雫が全色入った万年筆が用意されている。あろうとことか、試書き用のPILOT製の紙まで置いてあるではないか。マニアの物欲をくすぐる、悪辣な手段である。ちょうど暇を持て余していた私はふらふらとその試筆台に近づき、『孔雀』と書かれた万年筆を手にとってしまったのであった。
そもそも、色彩雫シリーズは月夜、冬将軍、霧雨と3種類持っていたが、全く使っていなかった。なんかこう、微妙な色合いなのだよね私にとっては。月夜は、ブルーブラックとして評判はいいんだけど、使いたいんだけど、いざ万年筆に吸わせてみると『なんとなくぼんやり気に食わないような気がする』と言う至極曖昧な理由ですぐに抜いてしまう。何が気に入らないのかは不明。まあ、プラチナのコンバータを青く染めはしたけど、ねっとりして洗いにくいけど、薄めた中性洗剤ですぐ落ちたし。正直、今一番気に入っているヤード・オ・レッドのブルーブラックと似てるんだよね、月夜。と言うか、ぱっとみでは違いがわからないほどなのに、どうして私はヤードが好きで月夜がいまいちなんだろう。
そして冬将軍と霧雨。冬将軍は寒色系の灰色、霧雨は暖色系の灰色。どちらもいい色なんだけど、フローのいまいちなペンで使うと薄い薄い。御霊前、って書きたくなる。どっちも好きな色なんだけど、使いどころが難しすぎる。
誰に見せるわけでもないし、自分用のメモにしか使わないんだから好きな色を好きなように使えばいいはずなのに、どうもまだ私の中に『万年筆かくあるべし』みたいな固定観念が根強くこびりついていて、自由な発想を抑圧しているような気がする……。
PILOT iro-shizuku ku-jaku
で、性懲りもなくやっぱり買ってしまった色彩雫。丸善で書いたときには結構暗めでこれなら使える! と思ってはない気荒く吸入したのだが、インク溝を通した色はびっくりするほど明るかった。これはフローに左右されるものなんだろうか。もちろん、インクを一度通して水気を切ってありますよっと。
濃淡は美しく、フローもいい。さらさら系のインクと思われる。細字に入れても綺麗なんじゃないかな。びっくりするほど薄かったこと意外は大変満足するインク。さすが国産希望の星。
しかし、乾いてゆくにつれ微妙に色が薄く・明るくなってゆく文字を見ていると、とんでもないことに気がついてしまった。
PILOT iro-shizuku ku-jaku
緑変したウォーターマン・ブルーブラックと似てたorz
気づいてしまいました。紙質・インクフローなどによってかなり印象は左右されると思いますが、かなり近い色味だと思います。もちろん孔雀の方が緑が多いけれども、なんと言うか、もう、切ない気分でいっぱいになりました。私は緑変しないウォーターマンBBを捜し求めていたはずなのに……!
でも綺麗な色なんだよな……明るめだけれども、長文を書いても目がちかちかしない落ち着きがあるし。小さい頃、近所の家が孔雀を飼ってて、よく羽を広げてもらうために孔雀を威嚇したものですよ。あの羽の綺麗な緑色を確かに思い出す。オス孔雀の首の色……
結構ペンによって文字の濃さが変化すると見たので、いろいろ試してみたい。丸善の試筆用万年筆では結構暗い色が出ていた。すわせることによる濃縮か、ペン先がEF程度に細かったためか。色彩雫は私の物欲をぎゅんぎゅん刺激するのでひどいとおもう。お財布が軽くなる上に、万年筆の数が足りません……!

5 Comments

  1. takaya

    こんばんは。
    色彩雫の孔雀の試筆記事、大変楽しく拝見しました。ある方のHPで青から緑に見事にシフトすると書いてありましたが、本当なんですね。綺麗だけれども使い処が難しいって、ある方のHPにありました。
    私もあのPILOT色彩雫の全色試筆用コーナーに魅かれて、手持ちの手帳や試筆用の紙に所有していない、且つ欲しい順に色見本をせっせと作っていました。それも1回、2回ではありませんけど・・・。
    深崎さんのおっしゃるとおり、試筆コーナーではかなり濃い目に発色しますよね。試筆コーナーのインクはかなり濃縮しているように思います。一瞬店員さんが補充する時にマゼマゼしてしまったかとも思いました。薄い色調のインクほど試筆(濃い)>自宅での発色(薄い)ですね。
    先日購入した「霧雨」極太のヌラヌラペンに入れましたが、正にご霊前って感じでした(笑

  2. Sixx

    こんばんは。
    色彩雫の孔雀と松露を買われたと以前の記事で読みましたが、
    松露の方で面白い動画が…(ご存知でしたらご容赦願います)。
    ようつべです。

    ttp://www.youtube.com/watch?v=OLm8kcuJFIo

    この色の変化って、どこかで見たような…^_^;

  3. 深崎

    >takayaさん
    孔雀も松露ほどではないですが、緑っぽくなりますね。ある方のHPはちょっと解らないですが、使いどころは本当に難しいです。
    丸善の試筆には騙されました。騙されたと言うか……いっそ濃縮しちゃえばいい色味になるんですかね。また一歩魔道に踏み出してしまいそうで怖いです。
    でも、いい色ですよね、御霊前。
    >Sixxさん
    松露の動画、見てたはずなのに……やっぱり買ってしまいました。松露、緑にならなければいいのに……!(書いたばかりの青は好きなんですが)
    もちろんアレですよね。でも松露の方が乾いた後あからさまな緑になるかな? そのうち写真を撮ってアップしようと思いますが。
    緑にならない松露が欲しいです。切実に。

  4. Sixx

    こんばんは。
    R&KのVerdgreaseとSalix入手しました。
    まだガラスペン書き状態ですが、前者は緑灰、後者は青灰と
    いった感じで非常に良い色です。
    特にSalixの色合いがとても美しいので使いたいのですが、
    酸化第二鉄含有ってことで、M800とかに吸わせてよいものか…と。
    店主の方はコンウェイで使われてますが不具合は見られないと仰ってますが…。
    悩ましいです…。

  5. 深崎

    >Sixxさん
    R&Kいいなあ……やっぱり買ってくれば良かったかなあ。色見本を未練たっぷりに眺めていたら、なんかライプツィヒアンブラックがいい感じっぽいし……サリックスもいいなあ……
    しかし悩ましいですね。万年筆かわいさにちょっとでも危なそうなインクは避ける……モンブランのBB使いたいけど何となく避ける……親ばかって言うかもう。
    とりあえず、コンバーターでお茶を濁してみてはいかがでしょうか。

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