ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
青インク色比較

青インク色比較

Blue INK impression
Blue INK impression
理想の青インクを求めて、インクジプシーは続く……
そもそも、数ヶ月前までは青インクが苦手だったのに、なぜ今、ここにブームが来てしまったのか理解できない。だが始まってしまったものは仕方ない、突き詰めるしかないのです。
とりあえず手持ちの青インクを全部並べてみた。ワールドワイドウエッブ上での色再現はモニタにかなり依存するので信用しないで欲しい。それで何度失敗したことか。まあ、参考程度、手持ちのインクと色合いの比較をする程度に留めていただけるとありがたい。
文字はすべてガラスペンで筆記。
以下、私見によるインプレ。
・モンブラン ロイヤルブルー
各地で綺麗だと絶賛されているようなので買ってみた。綺麗だが、青と言うよりは紫。どうして万年筆のインクで『青』というと赤が強すぎるのか。
・モンブラン ターコイズ
これって廃盤なんだっけ。マーカー用に買った。ペリカンのターコイズよりは水色よりだと思う。フローは良く、濃淡も綺麗にでた。
・モンブラン ブルーブラック
フローが渋いと思う。パーマネントは何となく入れる勇気がないが、色合いは好き。灰色がかった青がだんだん黒く落ち着いていくところは侘寂を感じる。ドイツなのに。
・PILOT 色彩雫『月夜』
微妙に緑がかっているような暗い青。確かに満月の夜空のイメージかも。月から少し離れた、稜線に近い空の黒。フローはよい。個人的には、太字よりも細字万年筆に入れた方が味わい深い色になると思った。
あと追記。なんだか水に流れにくい気がする。耐水性実験をしたわけじゃなくて、ペンを洗うとき、いつまでも青が抜けない……一晩以上つけおきしてもまだ水がうっすら青く染まってる。その前に随分吸入・排出を繰り返したのだが。
そして月夜は、プラチナのコンバータを青く染めた。
・WATERMAN ブルーブラック
今現在、もっとも好きな青。ただし書いた瞬間に限る。紙によっては恐ろしいスピードで緑に変わる。青の痕跡すら残らない。紙を選ぶインクだと思う。だが、フローも濃淡もよろしい。金ペン堂ご主人おすすめなので安全そう。褪色しないこの青があれば他には何もいらないくらい好き。でも緑になるんだよなー……ウォーターマンBBが緑に変わってゆく課程の色が一瞬、月夜に近くなる。
・カランダッシュ カリビアンシー
果たして青インクに含めていいものか。フローも濃淡も素敵だが、如何せん高価。潔い上げ底だと思います。ペンに吸わせて、数週間経った頃の濃縮された色味が好き。
もちろん、万年筆に吸わせて書けばこんなに滲まない。
・エルバン サファイヤブルー
青紫。むしろ紫。サファイヤって深い青の宝石じゃなかったんかい。ウェブの見本は信じすぎてはならないと再認識させてくれた一色。濃淡はあまりでない、のっぺりとした印象。ガラスペンでしか使ってないからかも知らん。
・ドクター・ヤンセン ジュゼッペ・ヴェルディ
フローも濃淡もよろし。赤味のない暗い青。Bニブに入れて使ってる。乾くと多少渋めの色に落ち着く。しかし私の持ってる瓶と先日丸善で見せてもらった見本と、まったく色が違うんだがどういう事だ。ヤンセン爺さん、入れる瓶間違っちゃったの? 丸善の方は青みが弱く、灰色に近かった。ちょっと緑がかってもいるような……? 紙の所為なのか。
・ドクター・ヤンセン ナポレオン・ボナパルト
フローも濃淡もよろし。赤味のない暗い青。Bニブに入れて使ってる。乾くと多少渋めの色に落ち着く。ここまで書いて判るとおり、ヴェルディとほとんど同じ色。だがこちらの方が丸善見本に近いので、多分間違ってたのはヴェルディの方。だがどっちも好きな色だから問題はない。
・ドクター・ヤンセン ジュール・ヴェルヌ
ディープ・シー・ブルー深海の青。うん、紫。要するに、これが<万年筆のインクで一般的に言われる青>色なんだろうな。ロイヤルブルーに近い感じ。フローはいいし、濃淡もでる。ただこれでノートいっぱいに書いたら目がちかちかするんじゃないかなあ、と言う明度。だが、太字のフローだくだくのペンで書いたら黒味が勝って落ち着いた色合いになるんじゃないかな。でも私の『深海』のイメージは青緑なので違和感が。海底2万マイルって光も射さない暗黒の世界じゃないのか?
以上。正直心の病じゃないかと言うくらい、どの万年筆二度のインクを入れるかに悩んでいる。依存……?
インクジプシーはまだまだ続く。

5 Comments

  1. ろけろけ

    はじめまして。
    青インクの色比較で検索して辿り着きました。
    よろしくお願い致します<(_ _)>。
    私は元々青インクが好きであれこれと使い比べているのですが
    いまだに「これっ!」という色に出会えていません…。
    少し紫がかったモンブランやペリカンのロイヤルブルーも好きですが、
    今最も好きな色はウォーターマンのフロリダブルーです。
    私も、もしウォーターマンのブルーブラックの色が褪色しなければ良いのに…、と常々思っています。
    (最初に購入したインクだったので、非常に思い入れが強い、というのも理由の一つです)
    ドクター・ヤンセンの色比較はとても参考になりました。
    ありがとうございます。
    それでは、また遊びに来させて頂きます。

  2. 深崎

    >ろけろけさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。ろけろけさんのサイトには、いつもお世話になっております。
    ウォーターマンのBBですが、美篶堂さんとLIFEのライティングペーパーだとあんまり緑変しませんでした。紙質にも依存してるのでしょうね……あと、フローがすこぶるいいM1000のMニブに入れたら、1文字当たりのインク量が多いのか、緑変してもそれほど気になりませんでした。ほんと、書いた瞬間の色が大好きなだけに、返す返すも悔しいです……
    ヤンセンは、乾いたあとの趣がたまりません。
    あまり更新頻度の高くないブログではありますが、どうぞまたお越しください。

  3. [stationery]万年筆のインク色をL*a*b*表色系で比較する。

    自作インク10色と市販のインク10色をA4用紙に印刷した升目に塗り、それをスキャナで取り込んで、画像補正用カラーチャート Casmatchを基準に色を補正します。 No.色素Lab 1ダイレクトブルー141-1-27 2アシッドブルー923511-30 3青色1号49-17-28 4緑色3号45-27-8 5黄色4

  4. 興味深く読ませていただいています。
    最近私はペリカンのタンザナイトに興味があるのですが、サイトにより見本の色がまちまちなので本当はどうなのかと迷っています。
    もしタンザナイトを試されたことがありましたら、感想を記事にしていただけませんか。

  5. 深崎

    >ぶっちゃんさん
    ペリカンの例のあれは全く手を出していないのです。お役にたてずに申し訳ないです……
    画面上の色見本はどうしても、モニタの色設定とかカメラの性能とかライティングとかでいろいろかわってしまいますから、しょうがないですよね。結局は自分の目で確かめるしかないという……

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