ここが終点と思っていても、おかしなことに、いつもいつも、終わりが始まりだ
レーシンググリーンとゲーテ

レーシンググリーンとゲーテ

むしゃくしゃしてやった。今は反省している。
Montblanc Racing-Green
今使っているボトルと、予備で持っていたボトル1瓶と、今回つい買ってしまった2瓶。あと5年は持ちそうな感じ。それまでに代替インクを探せばいいやと高を括っているが、その前に飽きそうな予感……
レーシンググリーンはフローがよくてさらさらなので、買ったばかりの万年筆に入れてペン先が私の書き癖に馴染むまで慣らし運転するにはちょうどよいインクだったのだが、今回廃盤が決まって残念至極。ウォーターマンのBBもフローはいいけど、緑変がね……目に痛いよね……
Montblanc Racing-Green
紙はモールスキン(品質劣化前)で、M800のMニブ使用。このM800が平研ぎでなかなか私の書き癖に馴染んでくれなくて困っていたが、「緑軸なら緑のインクじゃね?」という短絡的な思考からフローがいいと評判のレーシンググリーンを入れてみたらお悩み解決、途中でヤード・オ・レッドのBBに浮気したこともあったけど(そしてその時もフローは潤沢で書き味もよかったが)結局これに戻って、かれこれ1年以上、なんだかんだで使い続けている。
色合いは、本当に「ヘドロのたまった沼色」あるいは「長い間水を変えていない水槽の中の苔色」というのがしっくり来るような、濁った地味な色だが、濃淡が美しく、黒ほど地味ではないが主張しすぎず、控えめでちょうどいい色で大好きだったんだがなあ。ノートに目いっぱい書いても煩くないし、そもそも緑は目に優しいし。吸入したばかりのちょっと酸素が多めな水槽の苔色と、しばらく使って煮詰まった後の酸素不足な水槽の苔色と、どうしても藻類から離れられない印象だったけれども。
で、いくらストックがあるからといって、廃盤になったこのインク、いつかは潔く諦めなければならないときが来る(それまでに私が飽きれば一番いいのだが)
そうなったらどうしよう、と考えたときに、手持ちのインクの中から一番近いものを選んでみた。
Dr.Jansen Goethe
ドクター・ヤンセンのヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテである(売り切れだけど)
レーシンググリーンから緑成分が薄まって灰色に触れたような色合いで、これはこれでフローがよろしい。というか渋いペンで書くと「薄っ!」ってなる。これはモールスキンに146のMニブで書いたもの。少々暗く写っている分を脳内補正していただいて、ぼんやりしたイメージを掴んでいただければ幸い。
レーシンググリーンで書いたノートを10年後に見直したら結構近い感じになってるんじゃなかろうか。
持ってる中では一番近い色合いで、これも気に入っているインクではあるのだが、いかんせん品薄。入手製困難という点ではレーシンググリーンとあまり変わらないような気もする……
余談だが、ゲーテの『親和力』は面白かった。読み継がれるだけあるなあ、という印象。『若きウェルテルの悩み』もよかった。タイトルからぼんやりした青春小説なのかなあと思ってたら、ラストであんなことになるなんて……! みたいな。
結局黒かブルーブラックでない限り、インクの普遍性など求めても仕方ないことなのだから、来るものは拒まず去るものは追わず、廃盤になったインクは潔く諦め別のインクを探せばいいだけのことなんだよな。品質劣化モールスキンだけは未だに代替品が見つからないが(今のところ第一候補はグムンドだが、高い)
まあ、モンブランが出す新しいインクに期待。本当に出るんだろうな……?

8 Comments

  1. ardbeg32

    最後の一本あたりは腐ってしまいそうな予感。川口先生曰くインクの寿命は1年半とか?
    ところで紀伊国屋でマルマンのニーモシネ買おうと思ったら何故かセプトクルールというかわいい表紙のリングノートを買ってしまったんですが、セーラー青で裏抜けしました。やっぱりニーモシネを買わねば?

  2. ウサっ子三昧

    競争緑、初めてアップで見ました。
    そーだそーだ、常盤松があった!
    でもあれも限定っすねwww
    しかもセーラーの冬限定インクは、常盤松と囲炉裏と時雨と雪明をよっつセットでないとセーラーに注文できないらしく、モリタのおっちゃんが「もうちょっと考えてくれたらいいのにねぇ」ってぼやいてました。

  3. 深崎

    >ardbeg32さん
    開封しないと大丈夫、というのは都市伝説なんでしょうか。
    あ、ちなみにニーモシネ、R&Kのヴァーティグリーズで顕著に裏抜け、ウォーターマンBBでちょっとだけ抜けてました。ペンのフローも関係してるかと。該当インクをご使用の際はお気をつけください。
    >へろへろさん
    あれちょっと緑過ぎませんか? それより雪明りが気になってしまう私がいます。
    >ウサっ子三昧さん
    冬季限定ってなんだよwww来年の冬も出してくれるのでしょうか……セーラーはいったいどこへ向かってるんでしょうね?
    >takoyakiさん
    おひさしぶりです。
    そういえば私の持ってる緑(競争緑、松露、ゲーテ、カリビアンシー)は大体フローがよいようです。粒子の大きさとか? なんか科学的な根拠があるのですかねえ?

  4. へろへろ

    基本的に今回の色は今回限るで売りきりらしいです、色織々
    ちなみに冬の色が一番難しかったとブレンダーの人は言ってました
    夜の果てへの旅をオーダーしてみたかったですが
    摩耶ラピスより半段くらい摩耶ラピスもどきをオーダーしました@国分寺

  5. ardbeg32

    開封しなくても所詮化学薬品ですからねぇ。どうでもいい万年筆ならともかく800に入れるのはちょっと冒険かもと思います。関東はインク工房が比較的おおく開かれるのですから、レーシンググリーンに近い色をブレンドしてもらうのが良いかもですね。
    近畿圏ではめったに開かれないのが残念です。まあそのかわりナガサワで六甲グリーンを入手しやすいというのはありますが。セーラーらしくインクフローも良いですし。
    ニーモシネはスケジュール帳が欲しかったんですが、結構大きいのしかないのでちょっと見合わせています。つか、なんだかんだ言ってコクヨが万年筆インクには耐性が一番高かったり。無線とじでも気にならない人なんで。

  6. 深崎

    >へろへろさん
    売り切りかー……じゃあ雪明りもあきらめます。多分PRのダフネブルーと同じような色っぽいし……永続的にてに入れられないインクばかりが増えるのは何となく悲しいですね。
    >ardbeg32さん
    やっぱり腐りますかね。いっそ149Bに入れて使い倒してしまおうかな。インク工房は面白かったですが、なかなか出かける機会に恵まれません。まあ、基本的に引きこもりだからなあ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です